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2021年07月24日

運歩の法(うんふのほう) 三歩目

運歩の法(うんふのほう) 三歩目




















今回で三歩目……



ナンバの動きを使ったナンバ歩き
またそれを高めたナンバ走り
歩く事、走る事
それを総称して歩驟(ほしゅう)と呼ぶ。



具体的にはどんな風に動いていたのか?



まず、その前にお断りしたいのですが
ここからはナンバの研究者・実践者の見解と
私個人が実践・理解した事の私見(独断と偏見)
推測も含まれていると思って読んでください。




ナンバ歩きと我々の普段の歩き(西洋式)
との違いを端的に表現すると


脚と腕・胴体
各部の動きを分離独立させ展開
その全体を統合して前進する歩法



とでも言えるのではないでしょうか。



難しい?
つまりこいうことです。




現代人の歩き(西洋式)のように
両脚(下半身)と両腕(上半身)の動きを
胴体を捻ることで交互・前後に動かし
連動・同調させ、
足で地面を蹴って前へ進む歩みではなく



ナンバを使った歩きとは
脚は体が前方へ倒れて転ばないないように
支えるため(つっかえ棒的)の役割として用い
足で地面を蹴って前へは進まない。
(推進力の源としては使用せず、そのために使う
エネルギーも必要としない。省エネ!)



両腕(手)は脚の動きと連動・同調させず
身体の前傾と前方への重心移動に対して
平衡バランスを取るため腕を軽く広げて保つか
もしくは荷物や道具を支え持ったり
衣服を保持したりする為に使う。



前方へしなだれる(倒れ掛かる・もたれ掛かる)
様にしてわずかに傾き、斜め前方へ落下するか
のような上体に
重心が移動して自然に引かれゆく様に
脚(足)を素早く前へ捌いて滑らかに進み



踏み出す脚は無理に歩幅を前へ拡げず
移動する胴体の真下の位置に
柔らかく足を置くような感覚で接地し
膝のバネと足裏のアーチ構造全体で
接地の際の衝撃を緩和させ吸収する。



前進の推進力と速度は
上体の前方への傾きの角度と張り
重心移動の前後コントロールで加減・調節する。



胴体は決して捻らず、腕は両脚の動きと連動
させず、基本的に振りませんでした。
(発展系のレベルまでいくと、片腕の振りを
使って遠心力を推進に利用する方法もある)



江戸時代(明治維新以前)までは
手(腕)の位置(置き所)が、武士や商人、町人
など身分によって慣習的に決まっていて



町人は帯の前に両手を持ってきて組むとか
商人は前掛けの下に手を入れて持ち止めるとか
武士は右手に扇子を持ち左手は左の袖口を
持ったり



あるいは、腰に差す刀の鍔(つば)に手を
掛けるとかしていたので、腕は前後に振らず
胴回りも捻らずに歩いていました。



それも必然的理由があって
着物を着ると腕を振って歩けば大きな袖が
邪魔になって仕方がないし
袖の下(中)に何か物を入れているとなると
尚更の事そうしづらい。



武士は特に
刀を二本腰に挿している者もおり
腰を捻って歩くと刀が左右に大きく振れるので
ぶつかって誰も隣を歩けなくなる(笑)



現代の私たちの普段の動き方、歩き方では
西洋式の体幹(胴回り)を捻る動作が
無意識レベルでも体に染みついている為に



たまに着物や浴衣を着ると
体を動かす度に、よれて肌蹴(はだけ)て
着崩れてしまいますが



江戸時代までの人は
当たり前に日常着物で生活していたので
帯で体幹をコルセットを付けた時の様にサポ
ートし安定させ



胴回りを捻らず、うねらず、軸もぶらさずに
一つ一つの小さな動作でも姿勢を保ち
カラダ全体を使って動き



生活の所作から自然に
ナンバの機能的・効率的な体の扱い方が
鍛錬されていた(すべての動きに体全体が調和
し腰が入った状態)と考えられます。



だからといって、
体がガチガチに固まっていたというわけではなく
むしろ現代人よりもしなやかで柔かくユルユルで
実体としてはまるでコンニャクか豆腐が
着物を着て立っている様であった事でしょう。



逆に言えば、着物でタイトに体を包まれると
体幹を容易に捻りにくくなり、無駄なチカラや
リキミを抜いていかないと自在に動けない。



これも着物の(和服)の文化が
ナンバの動きを強化・発展させる理由になって
いたのかもしれません。



そして
ナンバの動きを高めた走りについてですが
昔の一般庶民は現代人のように走れなかった
ということを前回の記事て書きましたが



そんなことあるわけない!
走れないなんて考えられない!
とても信じられない!
と思う方はきっといるでしょう?




昔の一般庶民が走れなかったということは
実際やってみればわかることですが
着物を着て草履や下駄を履くと



裾がタイトだから脚も上げられないし
歩幅も広げられない。大きな袖があるので
腕も振りづらいし、靴の様に踵も固定されて
守られてないからすごく走りにくい。
(西洋式の走り方を無理に行えば!)



昔は現在と違って
時間の感覚・過ごし方も天地自然に合わせて
のんびりゆったりと流れていて
現代人の様に、いつも時間に追われてストレス
を溜め、セカセカしていたわけではないので



そもそも
日常生活の中で、火事や地震などの避難以外では
走る程急を要する事柄もあまり無かったので
その必要性もなかった。
とおっしゃる研究者の方も中にはいます。



それでも
日常的に走って速く移動する事が
必要に迫られていた一部の職業の者達は
歩く技術の延長として



高度な身体操作と重心のコントロール技術
優れた体力と心肺機能を身に着け
現代の常識ではとても考えられない長距離を
速く走りきる術を、経験から編み出していった
のでしょう。





ここまでナンバの動きについて
三回に亘り、文章のみで書いてきましたが

いまいちよくわからない!
歩く絵が浮かばない!
走っているイメージが描けない!


という方もきっといると思うので



ナンバ歩きについての研究者の説明動画を
載せておきます。 …百聞は一見に如かず..
ご覧下さい





最後に最新の情報を少し…

明和8年(1771)に再版された
伊賀流忍術の歩驟(ほしゅう)について
岡 伯敬という流祖が書いた不及流歩術
『万民千里善歩傅』の伝書で
[千里善走法]について書かれた内容の中に



急な山道の下り坂を歩く際に
脚への衝撃と負担を全身に分散・緩和させるため
両腕を上げてサスペンションのように使う方法や



片腕を大きく前後に振って
振り子のように遠心力をうまく利用して
体を宙に浮かせ前へ大きく進む方法



片方の脚を痛めた際に、左右の歩幅を変えたり
陸上の三段跳びのようにリズムとストロークの
強度を自在に変化させ対応したという
驚く様な方法を確立させ駆使していた事が
書かれているようです。



そして、岡 伯敬 曰く
不及流ならば
「健康な人なら一日四十里(約160km)は容易い」
と言っています。



このポテンシャルなら
もしオリンピックに出場出来るレベルの
トップアスリートが
本気で取り組んでマスターして挑めば
金メダルは間違いなく取れる事でしょう。





恒例の一曲プレゼント。どうぞ!
Slade ♪赤Run Runaway♪赤


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Posted by 玉城 覚 at 20:10│Comments(0)ウォーキング
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玉城 覚
NEW DEMENSION LABORATORY 代表
(ニュ- ディメンション ラボラトリ-)

身心調律法施術

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今後これまでのように全日の営業はできないかもしれませんが、短い時間でもたとえ変則的な日程であったとしても、これまで提供してきた他では見られない特別な施術を理解し、どうしても必要とされる方々の為に、何らかの機会を別な場所・新たな移転先を搜して続けようと考えております。
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